マル得温泉旅行

~知床からトカラ・台湾まで~

【野生の湯】某火口湖レポート

スポンサード リンク

【野生の湯】 ■某火口湖レポート

 山頂に着いた瞬間、右手から「プシュー!」という激しい音が聞こえてくる。眼下に広がるのは直径200m程度の火口底。それをグルリと火口壁が取り囲む。高低差は50m以上ある。音のする右手(=北東方面)は物凄い噴煙のため火口底がハッキリと見えない。まずは風上へと移動を開始する。風の流れと共に次第に噴煙が晴れていく。目の前では火口底が全貌をあらわにする。そこには白濁した巨大な火口湖があった...(ああああああぁぁ)。

 ▼鳥瞰図。火口湖やや左の下部分に色の違う箇所あり。ここは激深いと思う。
  入湯箇所はそこから少し右にある少しだけ色の違う部分。
温泉画像

 噴気から逃れるように火口壁を風上に回り、ガラガラの岩場を火口底へと降りていく。火口湖へ近付くにつれ地表は泥地と化し、田植足袋がズボズボ埋まる。そして湖面に温度計を差し入れる。22℃。冷たい...。
 気を取り直して、液体を口に含む。混じりっ気のないレモン味が美味しい。最も似ているのは塚原冷泉という感じか。歯の噛合せは変にならない。リトマス試験紙を取り出す。湖面につけた瞬間、試験紙は鮮やかな赤に染まる。サンプルと照合する。気のせいかpH0より色が濃い...。もしやpHマイナス?(^^; 思わず「ひえーー」と叫んでしまう。でも強酸性の方が強アルカリ性より人体への損傷が小さいんだよなと、無理矢理に自分自身を納得させ、入湯適温箇所の探索を開始する(^^;

 噴煙の遠く彼方の火口壁上には何人か登山客らしき人間の姿が薄らと見える。火口湖は幅30m奥行100m程度のだ円形。基本的に深さ10cmと浅く、また22℃低温と安全?なので、田植足袋で湖面をバシャバシャしながら探索する。(これが後に悲劇を生む)

 ▼湖面が波打ってます。激熱そうな湯が湧いてるみたい。 温泉画像

 湯の湧出が確認されたのは三ケ所。そのうち一ケ所は噴気(=有毒ガス)が近くにあったのでパス。もう一ケ所はエメラルドグリーン色をしていて超そそられたが、別府海地獄や立山新湯と同様に熱い上に物凄く深そうな予感がしたのでこれまたパス。残る一箇所で、いきなり38℃地点に遭遇! だが妙に深いような気がする(^^; 何せ透明度が5cmなので底が全く見えない。かなり怖いので少し場所を移動。今度は35℃と体温以下だが深さ30cm程度。風もあまりなく気温も暖かいことだし、安全性の点から入湯場所をここに決める。

 服を脱ぎ、火口湖に横たわる。風と噴気以外は、自分の鼓動しか聞こえない。全身を包むピュアな湯。しだいに地球と一体化していくような感覚に襲われる。自然の驚異的な恵みに、ただひたすら感謝。

 ふと気付くと15分も寝湯してた(^^; お肌がスベスベするのは嬉しいが、疲れ切った体にはかなりマズかったかもしれない...。なお日焼け(=軽い火傷)にしみなかったのは成分が薄いせいなのか、あるいは単にぬるかっただけなのか。

 ▼入湯箇所。より快適な湯舟を手堀することもできたけど...。 温泉画像

 他に類を見ない強酸性泉なので、ある意味危険なのだろう。中でも危なかったのは足の裏。火口湖をジャバジャバとやった田植足袋を履いたまま下山したので、強酸性泉に2時間以上つかっていたらしい(^^; そのせいで足の裏はシワシワになり、見るも無惨な様相になった(号泣)。#いつの間にか元に戻ってたけど(^^;
 また、その日の夜は、疲労と重度の日焼けという体調不良も相まって、一晩中うなされ続けた。ちなみに隣の部屋には、登山途中にスレ違った一人旅の女性が宿泊していたけど、彼女との「旅先の想い出作り♪」を画策する余裕さえないくらいに、私の体は傷んでいたのだ(シクシク)。#チャンスは何度もあったのだが...(爆)
 成分構成は、玉川温泉や硫黄島東温泉などの他の強酸性泉に比べると、飲泉した限りでは単純だし、薄いと感じた。だからと言って、何の気休めにもならないが(^^;

 一週間を経過した時点での、体調は悪くなかった。と言うよりも、なんだか以前より元気になったような気がした(^^; 肌は全身ゆで卵を剥いたようにツルツルしてたし、某火口湖のおかげで若返ったんじゃないかとさえ思っている。<幸せな奴(^^;
 皆さんも美容と健康のために、火口湖に突入しましょう。(おー!)

 ▼火口湖の模様。体に悪そうな物凄い噴気ですね(^^; 温泉画像

◆山頂付近は天候が激変しやすいです。雲がかかるとホワイト・アウト状態になり、有毒系の噴気との区別が難しくなるかもしれません。少なくとも雨の日のアタックは中止した方が無難かと思われます。

◆現地に行ってみれば分かりますが、かなりの噴気がモクモクしています。この噴気をいかにして避けるかが最大のポイントになりますが、そのためには風を味方にするしかありません。山頂の構造上ちょっと考えにくいですが、風向きが急に変わったり、無風状態になることもあるかもしれないので要注意です。

◆乾期は火口湖が消滅し、ボッケ状態になっているかもしれません。逆に雨期は火口湖の面積が広がり、入湯適温箇所が見つけづらくなるかもしれません。いずれにせよ自然が相手なので、運任せという側面が強いかと思われます。

-2001年-  

スポンサード リンク


 当Webサイトに係る一切の知的財産権は"Jun Yamane"に属します。引用自由リンクフリー連絡無用です。言及されている全ての商標製品名等は各所有者に帰属します。

Copyright©1999-2024 MA Bank, Jun Yamane All Rights Reserved.

※以前運営していた「野生の旅」は2004年に更新停止。2015年4月18日より、サイト名を「マル得温泉旅行」に変更して運営再開。