マル得温泉旅行

~知床からトカラ・台湾まで~

【野生の湯】青森 十和田湖町 南八甲田山中の湯

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【野生の湯】 ■青森 十和田湖町 南八甲田山中の湯

 八甲田山の高田大岳に登った後、酸ヶ湯に戻る。しばし休息し、西へと向かう。天候は不安定。山並みには、厚い雲がかかっている。紅葉シーズンだが、平日ということもあり、道は空いている。ほどなく目的地である猿倉温泉に到着。ついに雨が降り出した。
 公共トイレの奥に駐車する。目の前は登山道入口だ。近くにいた猿倉温泉の関係者に、山中に温泉が湧出しているかどうか聞いてみるが、知らないという。不安を抱えながらも、取りあえずポンチョを羽織る。

 歩き始めは楽だった。道幅も広く、傾斜も緩やかだ。雨足が強くなるが、ポンチョのおかげで全く苦にならない。ほどなく赤倉岳への分岐に到着。おそらく、この分岐を入っていくのだろうが、データが不足しているので、もうしばらく直進することにする。温泉は、いったいどこにあるのやら。

 ▼矢櫃萢。雨音の他は静寂に包まれていました 温泉画像

 やがて矢櫃萢に到着。そこには広大な湿原が広がっていた。素晴らしい眺めだが、あいにくの天気のためか、観光客の姿は見えない。ひょっとしてマイナーな存在なのだろうか。
 さらに進むと、矢櫃川に架かる石橋が真っ二つに崩れ落ちていた。渡ろうと思えば渡れなくもないが、ちょっと嫌な感じである。目の前の川は、増水した上に、激しく濁っている。ここまで温泉の気配が全く感じられなかったので、引き返すことにする。

 ほとんど川と化した登山道を引き返す。やや歩きづらいが藪漕ぎをしないだけマシだ。赤倉岳への分岐まで、何も考えずに下っていく。
 その分岐を少し入っただけで、猛烈に道が悪くなる。傾斜は急だし、登山道というより踏み跡に近い。幸いにもピンクのリボンが、ほぼ等間隔でついている。歩きづらいが、取りあえず道に迷うことはなさそうだ。
 そのうち踏み跡は、沢筋と合流する。土砂降りの中、かなりエグい登山道を前進する。水の音が激しくなる。矢櫃川が近づいてきたらしい。さきほどの様子から渡渉は、かなり辛いだろうと思っていたが、実際、川を目の前にすると、メチャメチャ怖いの一言。唯一の救いは、おそらくこれ以上増水することがないことぐらいか。(笑)
 増水して深くなっているのはもちろん、流れが早い。しばし渡るポイントを探すが、なかなか良いルートが見つからない。陸沿いに川を10m程度遡ったところから横断することにする。ヤッケ下を脱ぎ半ズボンになり、ポンチョを腰のところまでまくり上げる。手頃な枝を持ち、渡渉を開始する。

 ▼硫黄泉の沢の少し上流では、コンコンと湯が湧出していた。 温泉画像

 渡りきった後も、ピンクのリボンを追いかける。すぐに硫黄臭を感じる。どうやら硫黄泉の沢は近いらしい。
 ほどなく右手から入り込む白濁の沢と合流した。沢はややぬるい。少しだけ遡ると源泉地帯に到達した。そこには美しい露天があった。広い上に深そうだし申し分ない。嬉しさを押し殺して、温泉に手をつける。
 だが、ぬるい。(ガーン)。温度計を差し入れると25℃しかない。この天候では、長湯できそうにないし、何より風邪をひきそうだ。快適じゃないと嫌なので、躊躇なく入湯を諦める。入りたければ、暖かい季節に訪れれば良い。洗顔をして、一服する。

 猿倉温泉へ戻る途中、今度来る時は、晴れた日にしようと真剣に思った。(笑)

-2001.10.12-  

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